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2016.03.19 Category| すべての記事
よりくわしく。
全国の「靴好きだよ&靴磨きも好きだよ系」男子、女子の皆さまこんにちは。
「花粉症?何それおいしいの?系」男子のこたにです。
先週までの寒さが嘘だったかのような気温ですね。
ぽかぽかで気持ちいいです(花粉症の方々はとても辛そうですが)。
こんな日はお昼ごはんを食べた後大草原に大の字になって昼寝がしたいものですね。
まぁ、このBLOGを書いている今現在は思いっきり雨なんですけどね。
・・・
さてはて本日のブログの内容ですが、先週のブログでは我々の磨きメニュー”The Brift”の工程の説明をさせて頂きました。
なんとも工程が多かったですね。それらをざっと写真付きで説明をさせていただいたのですが、
今回はクリームまでの工程、つまり靴の寿命を永くするための工程の説明をより詳しく、ズームアップしながらご説明したいと思います。
おそらく長くなると思いますがどうぞよろしくお願い致します。
1、靴紐を外し、アルコールを含ませたコットンで
靴内を綺麗にします。
→細かく説明しようがないですが、ライニング全体、特につま先までしっかりとコットンで除菌&ホコリをがっつり取ります。
2、コバを紙やすりで削り、整えます。
→ここで使う紙やすりですがコバを削るやすりは「150番手」と「280番手」を使い分けています。
ほとんどのものは「150番手」で削りますが、比較的すでにコバが整っている場合は細かい「280番手」で優しく削ります。
アッパーのコンディションはもちろん、コバのコンディションもしっかり見ます。
3、削った部分をコバインキで補色をします。
→コバインキも様々あり「革用コバインキ」と「早染めインキ」を使い分けています。
左:「革用」 右:「早染め」
レザーソールなら「革用」、ダイナイトドットやリッジウェイソールなどのラバーソールの場合は「早染め」といった具合です。
色展開は「チャ」「コイチャ」「クロ」の3色展開です。それぞれコバの色に近いもので着色をしていきます。
4、シューツリーを入れ、履きジワを伸ばします。
→これこそ細かく説明しようがありませんね(笑)割愛します。
5、馬毛ブラシで、ホコリを払います。
→出ました「Brift H三大ブラシ」の初号機「馬毛ブラシ」です。
ここで全体のホコリを払っていくのですが重点的にしっかりブラッシングするのは写真の黄色の囲い部分。
コバの溝、タンの隙間です。この部分もしっかりホコリを取ります。
6、指に巻いた布にクリーナーを少量ずつ取り、
古いクリーム、ワックスを除去します。
→はい、このクリーナーの工程ですが、実はここが一番難しい工程なんです。
ここはもう血眼になって革のコンディションをチェックします。もちろん一瞬のうちに、です。
黒以外の色物の場合は特に、それぞれ靴によって色ののせ方が違います。
・染料で革の中から色を入れているもの
・顔料が多めで表面上に多く色がのっているもの
・完全に上から塗装をかけ表面にしっかりコーティングがしてあるもの、etc…
言ってしまえば何通りもあります。
また、革によっても色が定着しやすいものやそうでないものもあります。
そのため、クリーナーで一生懸命ワックスを落として…あれ?クリームで色が入らない! なんていう可能性もあるわけです。
つまり、このクリーナーの工程は命がけです。攻めるか慎重に行くかはあなた次第…ぁ、ぃぇ、靴次第です!
7、乳化性クリームを少量取り、指でマッサージするように
塗り込みます。
→この指でクリームを塗り込む理由ですが、一つは体温でクリームを温めながら塗り込むことで浸透率を上げるため、
もう一つは指で革のコンディションがわかるため、があります。
また、基本的にはオリジナルシリーズの”The Cream”を使いますが、場合によっては他のクリームを使うこともあります。
それも、革次第、靴次第です。
8、コバブラシでアッパーとウェルトの隙間にも、クリームを入れます。
→ここもとっても大事。このコバがホコリで白っぽくなっていると靴がキレイに光っていてもまとまりが悪い仕上がりになります。
絶妙な反り具合のこのコバブラシで、ウェストの括れた部分にもしっかりクリームを入れていきます。
「神は細部に宿る」です。
9、豚毛ブラシで全体に力強くブラッシングをしてクリームを馴染ませます。
→続いて「Brift H三大ブラシ」の2号機「豚毛ブラシ」です。
もう力いっぱいブラッシングしてください。
懸念される方が多いですが、豚毛ブラシで革に傷が付くことはありません。
また、「コードヴァンは柔らかい馬毛のブラシでブラッシングした方がいいんですか?」というご質問を多くいただきますが、
答えはNoです。強くブラッシングしなければ革の中に栄養が浸透しませんし、そもそも馬毛ブラシとクリームの相性は悪く、ベタつきの原因になることがあります。
強くブラッシングすることでツヤもしっかり出てくれます。
10、布で余分なクリームを乾拭きします。
→豚毛のブラシで革の中にクリームを浸透させたあとは、表面に残った浸透しきらなかったクリームを拭き取っていきます。
ここでしっかり拭き取っておかないとその後のワックスの定着が悪くなります。
…といった具合です。
クリームを乾拭きしたあと、一番時間のかかるポリッシュ(鏡面磨き)の工程に入っていくわけです。
これまで説明した通り、これらの工程を細かいチェックを同時進行で行いながら約40分前後で完了させていくわけです。
そうなんです、結構大変なんです。
サラーっと磨いているようには見えてしまうかもしれませんが、実際にはなかなかな緊張感をもってやってるんです(笑)
と、いったところで予想通り長文になってしまいましたね。
読むだけで疲れてしまっていたら申し訳ございません。
何かご不明な点等ございましたら、靴磨き以外でももちろん構いませんのでお気軽にご相談ください。
これからも一足一足丁寧にお客様の足元を元気にできるよう、精進してまいります。
それではこの辺で。
こたに
P.S.
下に出る「written by 北見」は華麗にスルーしてください。
written by brift-h