靴を履くにあたって大事なこと
こんにちはー。小林です。
皆さま連休はいかがお過ごしでしょうか?
朝晩の涼しい風が秋めいてきましたね。
個人的には秋の夜が靴磨きにぴったりだと思ってます。
今日は基本的なことですが、靴を履くにあたって大事なことをお伝えさせて頂きます。
皆さま既知のことだとは思いますが、日々皆さまの靴をお預かりする中でご質問頂くことも多いので、
怠ると靴がこんな風になってしまいますよ~といったのも添えつつ。
ではでは早速。
~その壱~ 新品の靴は磨いてから履くべし
なぜなら、よい状態で経年変化できるからです。
靴が作られて皆さまのお手元に届くまでに、長い時間が経っています。
その間に革はどんどん乾燥するので、その状態で履き始めるとこんな怖いことがあるんです。
・足になじみにくい
・皺がきれいに入らない
・染みができやすい
・いずれクラック(ひび割れ)が起きやすい などなど
なので、履き始めの前にしっかりクリームの栄養を入れて、革を良い状態にして履き始めましょう!
もちろん新品の時だけではなく、履き込んでからも同様です。
クリームは革にとっての食べ物です。
大袈裟に言うと、子供がしっかりご飯を食べて育つのとそうではないのでは、育ち方が違いますよね。
※ちなみにスエードはスムースレザーと違い、履きおろす前に防水スプレーを吹きかけるだけでOKです。
ちなみに・・・
新品の靴をポリッシュ(waxで磨く)するのは、履き込んだ靴より難しいです。
何度もお手入れしている靴は、革が育ってくるのでwaxがのりやすく、光りやすいのです。
靴を育てるというのは、こういった面もあるのですね。
またグッドイヤー製法などのソールがしっかりしている靴は、
履き始めの前につま先に金属スティールをつけることをお勧めいたします。
新品はソールがまだ固くて曲がりにくくつま先が削れやすいので、履き始めてすぐに削れてしまうことが多いです。
そうすると、おろしたばかりなのにすぐに修理に出さなくてはならなくなってしまいます。
・・・テンション下がりますよね。
それと新品の時につけると、金属スティール取り付け料金が¥1,080安くなります。
履いて既に削れた靴だと、削れた面を整える作業工賃が必要になるのです。
※マッケイ製法はソールが薄い為、金属スティールはお勧めしておりません。
ハーフラバーソールを貼るか、ソールが削れて薄くなってからの補修がお勧めです。
~その弐~ 履く時は靴ベラを使うべし
使わないと、こんなことになっちゃいますよ~
靴ベラを使わずに履くとかかとの履き口を踏んでしまい、かかと外側の革が裂けてしまいます。
修理は可能ですが、日頃から靴ベラを使ってかかとを守りましょう。
靴ベラいろいろ。素材もいろいろあるので、選ぶのも楽しいですね。
~その参~ シューツリーを入れるべし
ツリー、大事です。
シューツリーは靴の型崩れを防ぎ、靴を長く履いていく為の重要な道具です。
脱いだ後の靴に入れることで、甲に大きなシワが入るのを防ぎます。
シワを防ぐことで、ひいてはクラック(ひび割れ)も防ぎます。
~↑Brift H のWEB SHOPからの引用です~
★WEB SHOP シューツリーはこちら★
靴は履いて歩く度に屈曲して皺が入るので、1日履いた後はツリーを入れて皺を伸ばしてあげましょう。
入れずにいると、皺が癖になってしまいます。
スーツもハンガーにかけないとシワシワになりますよね。
よく「シューツリーは脱いですぐに入れた方がいいですか?
それとも靴の中の湿気を取ってからの方がいいですか? 」というご質問を頂くのですが、
私たちの見解としては、湿気を取ってからツリーを入れた方がよいと考えています。
ただ汗をかく量は人によるので、さほど汗をかかない方は脱いですぐに入れてもいいと思いますし、
その逆の方は湿気がなくなってからでよいと思います。
多すぎる湿気は、最悪カビが生える原因にもなりかねますし、
汗もライニング(靴の内側)を吸うと固くなって割れることもあります。
靴を長くきれいに履いていく為には、ツリーは必須です!
~その四~ サイズ感を大事にすべし
意外に大きなサイズに気付かず履いている方、多いんです。
小さいとどこかしら痛くなるので気付きますが、大きいとそれがないので気付きにくいんです。
大きいサイズを履いていると、こんな事が起こります。
〇うねっとした大きな皺ができます
靴と足の間に空間ができて大きな皺が入ってしまうのです。
※こちらの靴はやはりサイズが大きいので、インソール調整をやらせて頂きます。
一度できた皺は悲しいことに、元に戻すことはできません・・・。
それと大きな皺の反動でつま先が反り返ってしまうこともあります。
〇靴のあちこちに裂け や ほつれが起こります
サイズが大きいと靴の中で足が動き、本来負荷のかからない所に負荷がかかることで、
革が裂けたり 縫いのステッチがほつれたりすることがあります。
こちらは「カンヌキ」と呼ばれる所。羽根の付け根や羽根の下です。
特にコードバンは素材の性質上、裂けやすいので要注意。
かかともよく擦れるため、穴が空きます。
擦れが進んで靴の中の芯が割れると、型崩れしてしまいます。
などなど。
いずれも修理は可能ですが、もちろんこんな風にならない方がいいですよね。
※このような症状は、必ずしもサイズが大きい為に起きる訳ではありません。他の原因で起きる場合もあります。
〇ひび割れ(クラック)が起きやすくなる
サイズが合っていないと汗をかきやすくなります。
靴の内側の革が汗を吸うと、内側の革、アッパーの革が硬くなり、そこからひび割れてしまう恐れがあります。
※ ひび割れは必ずしもこの理由だけで起きる訳ではありません。
ジャストサイズでも革質や日々のお手入れ不足等、様々な原因でひび割れが起こります。
ただ大きなサイズなことも、ひび割れ発生の一因であります。
といった所でしょうか。
あとは見た目として、羽根がびったり閉じているより、多少開いている方が格好良く見えると思います。
革はどうしても伸びてくるものなので、
履き馴染んでくると、初めはタイトフィッティグだったのがゆるくなってきます。
そんな時はインソールを入れてサイズ調整をすれば、また良いサイズで履いて頂けます。
当店でもインソールの調整を行っておりますので、気になる方はお気軽にお声掛け下さい~。
靴は日々足元を支えてくれるものなので、自分に合っているサイズ感で履くことはとても大事ですし、
やはり安心して、快適に履いて頂けます。
当店でのインソール調整は、まず実際に靴を履いて頂き触診させて頂きます。
そしてサイズが合っていない所の空間を埋めるように1mmや2mmの革などのインソールサンプルを入れて、
また実際に履いて頂き、相談させて頂きながら、加えるインソールの厚さを決めていきます。
お預かり期間は約1週間です。
※インソール調整は30分程お時間を頂きますので、ご希望の方は事前にご予約頂けましたら幸いです。
もちろんその場でも、ご予約が入っていなければ対応させて頂きます!
朝が弱い私は、靴ベラを使わずに履くことも実はしょっちゅうあります・・・。
すみません・・・。
でもちゃんとできた日は、靴も「ほっ(安堵)」と言っている気がします(笑)
手をかけるからこそ愛着が増しますし、
大事な靴と末長く付き合っていくために、何卒よろしくお願いします。
ではでは、小林でした。