新企画 「男を磨く」
THE BARBER 「現代の名工」 ヒロ・マツダ氏
今回から始まった新企画「男を磨く」の記念すべき第一回目のゲストは、
ヒロ・マツダ氏をお招きして、理容師から見た男の磨き方についてお話を伺います。
当店は「靴を磨いて、己を磨く」を理念に、靴磨きをしておりますが、その中でもっと幅広くその道のプロに、男の磨き方を学んでいきたい!というところから新企画が生まれました。
では早速ですが、今回のヒロ・マツダ氏の経歴をご紹介致します。
昭和49年、ロンドンのヴィダルサスーンカットスクールに留学後、パリ、アランインターナショナルカットスクールへ留学。そこでカット技法を学ぶ。
その後 理美容コンテストで活躍。第30回全国理容競技大会優勝を始め、ロサンゼルスで行われたBeauty EXPO’98では「The Best OF World Theater」を受賞し、その技術を世界にアピール。平成15年、卓越した技能を持ちその道で第一人者とされる者に贈られる「現代の名工」を受賞。
2006年に「THE BARBER 渋谷店」、2007年にも「THE BARBER 代官山店」を出店。現在、後進の指導にあたる一方、全国各地でのショーや講習などに精力的にこなしている。
理髪業界、40年以上のもの凄いお方です・・・。
長谷川裕也(以降長谷川):今のバーバーを始めるまでの経緯をお聞かせ下さい。
ヒロ・マツダ(以降ヒロ) :こういうバーバーをずっと前からやってみたいとは思ってたんですよね。
男の行く場所・・・なんていうんでしょうね。男の人って、
ある程度年齢がいくと美容室に来づらくなりますよね。
僕が美容師をやっていた時に、男の人が来づらくなるのが分かるんですよね・・・。
長谷川:そうですよね。若い女性に混ざって、
40歳くらいの男の人が居るわけですもんね。
ヒロ :そうそう。そういう人たちの行くところが無くて結局、床屋さんに行くんだろうな・・・とは
思っていたんですけど、男の人が本当に行きたいって思う、
床屋さんってどんなお店だろうと思って、
Barなんかで「今どこに行かれてるんですか?」なんて、色々リサーチし始めたんですよね。
どんどん聞いているうちに、美容室はちょっと恥ずかしいところがあるんだよね。
なんて話を聞いて、やっぱり今の美容室じゃ難しいなと思って・・・
後は、顔剃りをしてもらいたいっていう人が結構いらっしゃるんですよ。
でも「床屋の顔剃りって痛い。」とか「カットが下手だ」っていうイメージがあったんです。
もし自分が行かれて自慢できるようなお店ってどんなお店なら行かれますか?って聞くと、
場所でいうとやっぱりロンドンとかNYにあるバーとか喫茶店とかいいお店沢山ありますよね?
そういうお店に行くなら良いよね。ってところがはじまりで、今の店の内装にもなっています。
長谷川:むこうのバーとか、そういうイメージなんですね!
ヒロ :そうなんですよね。技術的な面でいうと、男性が床屋から美容室に流れていってしまった理由
とか悪いところを探して研究しました。
行きたくなるように、今までの床屋の技術的な事を創り変えてしまおうって考えてやりましたね。
長谷川:そもそも、男の人が美容室に行くようになったのはいつ頃なんですか?
ヒロ :20年くらい前からだと思いますよ。
流れたきっかけというのが、お母さんが美容室に子供を一緒に連れていく事ですね。
あとは、だんだんルーズな髪型が流行ってきたのもあって男の人が美容室に行くように
なってしまったんですよね。
長谷川:じゃあ、美容室も男性が流れて来た事で、お洒落に変わってきてるんですか?
ヒロ :美容室はあまり変わってないんですよね。
なぜか、美容室に男がどんどん来るようになっていったんです。
長谷川:ファッションもですけど美容もユニセックスになっていくんですね。
それで、色々リサーチをされて新しいニーズがあると言う事で、
以前の美容室はきっぱり辞められて、今のザ・バーバーを始めたんですか?
ヒロ :まぁ、そんな感じですね。
長谷川:それで、お店を初めてすぐに、お客様には受け入れられたんですか?
ヒロ :今までのお客様は来てくれましたけど、最初の半年ぐらいは大変でしたね。
徐々に浸透していって半年経った頃に、取材が増えてから一気に忙しくなっていきましたね。
長谷川:実はですね、覚えてらっしゃらないかと思いますが4年ぐらい前にゲーテという
雑誌の中で紳士を磨くっていう特集で、マツダさんのザ・バーバーとその次のページ に
うちが載っていたんですよ。
うちのお店はそれがキッカケでお客様に足を運んでもらえるようになったんですよ。
ヒロ :うちも同じですよ。メディアのお陰様です。
長谷川:ありがたい事ですよね。
ヒロ :やっぱり知られないと、なかなか難しいと思いますから。
・店内にはヒロ・マツダ氏の趣味の骨董やアンティークのカミソリ等があり、格好良いお店です。
長谷川:今までの経緯を聞かせて頂いたんですけど、色々リサーチされて、男の人が年齢と共に
美容室に行きづらくなる現状からお店を初められたという事ですが、
今実際にいらっしゃるお客様って若い方も多いんじゃないですか?
ヒロ :そうなんですよ。段々若くなってきてますね。
うちのお店としては、好んで来て頂ければ良いなって思っているんだけども、
別に高級バーバーという事でやったわけでもないので・・・
やっぱり色々なお客様がいらっしゃるようになると、品が落ちてきますよね。
そこは気にしています・・・。
長谷川:ブログでハサミのトレイをお客様から頂いたとか、書かれてましたけど・・・
ヒロ :ブログもみてもらってるんですか!?
長谷川:はい、もちろん見てます。笑
僕が思ったのはそういう話を聞くと、拘ってるお客様が多いんだなって思いました。
ヒロ :あれはね、僕のハサミトレイが小さかったんですよね。
ハサミが重なっている時があって、それを見たお客様が
「そんな高級なハサミを重ねて入れるのは、ハサミが可哀そうだ」って言って、
プレンゼントしてくれたんですよ。
長谷川:すごい素敵ですよね。
マツダさんのお客様は、やっぱり拘りの強いお客様が多いんですか?
ヒロ :実は、基本的に女性のお客様が多くて、男性のお客様少ないんです。
長谷川:そうなんですか!?女性のお客様もいらっしゃるんですか?
ヒロ :女性のお客様もお見えになりますね。
格好良い男性には、必ずパートナーがいるじゃないですか?
そうすると来たくなるのは、当たり前だと思いません?
長谷川:すっごい、意外ですね。さすがに顔剃りはやらないですよね?
ヒロ :やらないですね。でも、他のお客様がやっているのを見て気持ち良さそう。
とは言って下さいます。
長谷川:絶対、やりたくなりますよ。ヘッドスパとかも見てると気持ち良さそうですもんね。
あれも、独自でやられたんですよね?
ヒロ :そうです。男性のヘッドスパって女性とちょっと違うんですよ。
長谷川:そうなんですか? どういう違いがあるんですか?
ヒロ :ツボの押さえ方とか、マッサージのリズムがあるんですけど、
男性と女性では違いが あったりするんですよ。
男性のお客様は、やってる最中にガーガー寝てしまいます。
長谷川:リズムとかも、全部独自で!?
ヒロ :そうそう。自分達で開発して、これだったらいけるなっていうのでやっています。
なので、スタイリストの最終チェックが僕に実践してOKにしなかったら
お客様に提供できないようにしてます。
長谷川:スタイリストにとっての登竜門ですね・・・。
ヒロ :そうですね。
長谷川:じゃあ、社長が寝たらOKって事ですね。・・・笑
ヒロ :絶対寝てやらない!って思っているんだけど、寝ちゃうんですよ。・・・笑
長谷川:ヘッドスパもそうですけど、今の世の中の男性って理容を求めていますか?
原点回帰じゃないですけど、顔をそってもらったりとか・・・
ヒロ :求めてますよね。ただ、求めているんだけど受け入れるバーバーさんや
床屋さんが少ないですよね・・・。
長谷川:髪型も床屋さんって、カットし始めると早いじゃないですか。
結構クシとかで素早く整えていくようなイメージですけど、そういった以外で、
ふわっとした感じのカットとかもやってらっしゃるんですか?
ヒロ :それもやってますね。男性は今、美容室にいっている方が多いじゃないですか?
特にお洒落な方はね。
そこで美容室のカットをもってこないと、お客様を裏切る事になりますよね?
長谷川:お客様は美容室のカットを求めているんですね?
ヒロ :求めてますね。そこは良いとこ取りをしないといけないので、お店としては
・カットは美容室のような カット。
・顔そりはエステのような顔そり。
・シャンプーはヘッドスパのように疲れを癒すシャンプー。って決めていますね。
長谷川:いわゆる、昔ながらの床屋と今の美容室のちょうど間ぐらいの感じで
やってらっしゃんるんですね。
ヒロ :そうです。間ですね。
長谷川:すごいですね。それが、受け入れられているんですね。
ヒロ :新しい感覚のものをもってこないと、ダメなモノはそのまま磨いてもダメですよね。
素材を新しく作り直さないと・・・。
長谷川:いやー、すごく勉強になります・・・。
うちのお店も、技術や仕事のありかたを考えていきたいですね。
ザ・バーバーの生い立ちと男の理容について、かなり濃いお話しを聞かせて頂きました。
今回は内容も盛り沢山ですので、2部構成でお送りします。
次週、「理容の楽しみ方」、「日本の若者へメッセージ」
どうぞ、お楽しみに。