東京では徐々に桜が咲きだして日に日に春が近づいてきてますね。
でもまだ夜は寒い…
さて今回はキズ補修の話でもしましょうか。
最初に断わっておきますが、自分はタイムマシンはもっていません。
冗談は(ってあまり面白くないですが…)さて置き、時間を戻してキズを無かったことにすることはできません。
当たり前か。
ではどうするか?
まずキズをなくす方法は二つ。
一、キズを埋める
図を見てもらえば一目瞭然ですよね。
イメージは分かると思います。
あ、やっぱり埋めればいいんだ、簡単じゃん。と思った方。
実は埋める方法はあまり使えません。
何故か?
一、曲がるところは埋めた素材が割れる
二、埋めた箇所は革の素材感がなくなってしまう
つまり甲やサイドの革が曲がるところはこの方法は適していません。
また長いひっかきキズや転んで擦れてできてしまった広めのキズもこの方法だと適しません。
じゃ、どんな時に埋めるのか?
これはつま先やヒールでピンポイントに付いたキズ、例えばペンを落としてできてしまった穴やホンの一か所の小さなキズの場合はこの方法が良い場合があります。
という訳で、埋める方法だと色々と制約があるので削って均す方法の方を用いることが多いですね。
そして削る方法でも、如何に削った所のラインをきれいに見せるか、表面をどう整えるかと言った難しい所があります。
さぁここまででキズが埋まるか削るかで見えなくなりました。
で、ここでまた問題です。
埋めた場合も削った場合も周りと色が異なってしまいます。
このままだとキズを直した跡がバレバレです。
という訳で次は色を整えていきます。
これもまた方法は二つ
一、染料で染める
二、塗料を塗る
色を整える方法はどちらにも制約があります。
どういった制約か?
キズついた箇所は水分や油分が染みこみ易くなっています。
染料の場合は色を濃くしていかざるを得ません。
では濃くなるのがわかっててなぜ染料を使うのか?
それは革の質感を残してきれいに仕上げることができるからです。
塗装の場合であれば明るい色の革を明るい色のままに仕上げることができます。
こう書くとなんか良いことずくめですね。
でも塗装ってつまりは革を塗料で覆ってしまっているんです。
そうなると革のムラ感も質感もなくノペっとした印象になってしまい、いい革の靴には向いていません。
そしてあくまで革の上にのっているだけなので再度擦れると剥がれてしまいます。
塗装はピンポイントの補修には向いていますが、ある程度の範囲がある場合はあまりお勧めできません。
染める場合はどうなのか?
つま先やカカトの場合はあえて濃くしてしまいアンティーク仕上げという方法がとれます。
これであれば革の質感を残し、アンティークの雰囲気で素敵に仕上げることができます。
という訳で染料の場合は色が濃くなってしまうことを逆に利用してきれいに仕上げることが可能なのです。
但し、染料も万能ではありません。つま先やカカトであればアンティーク仕上げが可能ですが、
甲やサイドのキズの場合、キズの付近だけ濃くすると恰好悪くなってしまいます。
この場合はRecolor&キズ補修か剥がれる可能性を分かった上で塗装になりますかね。
勿論、色を気にしなくて良い黒の靴であれば、制約なしで染料で色を入れてほぼ分からなくなるように仕上げることが可能です!!
キズ補修は幾つかやり方がありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。
それぞれの特徴からそのキズ補修にあった方法を提案させて頂きますので、キズが気になる方はお持ち下さい。
キズ補修担当の北見でした。